個人工房・革財布・クリアウォレット・ブログ

手入れは?イタリアンレザー財布|やりすぎるくらいなら、しない方がいい?

イタリアンレザー財布 手入れ ブログメイン画像

イタリアンレザーの財布を手に入れると、「どんなお手入れをすればいいのだろう」と気になる方は多いと思います。クリームを塗ったほうがいいのか、専用のお手入れ用品を揃えたほうがいいのか、調べれば調べるほど情報が溢れていて、かえって迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。

実は、手入れを頑張りすぎることがかえって革にとって負担になる場合があります。良かれと思って行ったお手入れが、逆に革を傷めてしまうケースも少なくありません。

この記事では、イタリアンレザー財布のお手入れについて、本当に必要なことと、やらなくてもいいことを整理して解説していきます。

※「イタリアンレザー」という言葉自体は、本来イタリアで鞣された革全般を指します。ただし、財布のお手入れという文脈で語られる場合、その多くは「植物タンニン鞣し革」を指しています。このブログでも、植物タンニン鞣しのイタリアンレザーを前提として解説していきます。

記事のポイント
  • お手入れは引き算で
  • 過剰ケアは逆効果
  • 変化や傷も味わいに

手入れは?イタリアンレザー財布

・防水スプレーは必要?イタリアンレザー財布
・100均|イタリアンレザー財布のお手入れ用品
・クリームの塗布など|手入れをやりすぎるとどうなる?
・手入れをしないのもOK?イタリアンレザー財布
・デメリット?イタリアンレザーの変化や個性
まとめ|手入れは?イタリアンレザー財布
防水スプレーは必要?イタリアンレザー財布

防水スプレーイタリアンレザーの財布を使い始めるとき、雨や水濡れが気になり、防水スプレーを使うべきか迷う方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、イタリアンレザーの財布に防水スプレーは不要です。その理由を順に説明します。

まず、イタリアンレザーは濡れても大きな問題になりにくい革です。コードバンなど、水に濡れると表面が水ぶくれのようになってしまう革もありますが、イタリアンレザー(牛革)であればそうした心配はありません。

とはいえ、まったく影響がないわけではなく、水に濡れると一時的にシミになったり、色が変わったりすることがあります。ここで注意したいのが対処の仕方です。布などで擦るように拭いてしまうと、その部分だけ艶が出てしまい、元には戻らなくなります。濡れてしまった場合は、乾いた布で擦らず、軽く押し当てる程度にとどめてください。少し濡れた程度であれば、何もせず放置しておくだけでも、目立たない程度に元の状態へ戻っていきます。

次に、財布は靴やバッグと比べてそもそも濡れにくいアイテムだという点も見逃せません。パンツのポケットに入れている際に雨が降ったとしても、ポケットの中は服に守られているため、スプレーによる対策までは不要です。

さらに、防水スプレーには経年変化を妨げてしまう可能性があるというデメリットもあります。スプレーは革の表面をコーティングするため、手の油分が染み込みにくくなり、イタリアンレザーならではの美しいツヤや色の深みが出るのを遅らせてしまうのです。どうしても使いたい場合は、フッ素系の防水スプレーが推奨されています。シリコン系は通気性が失われてしまうため、避けたほうがよいとされています。

ただし、フッ素系であっても失敗するとリカバリーしにくいという点は変わりません。色が濃くなったり質感が変わったりすることがあり、一度ついた変化は元に戻せないためです。革を守るつもりで使ったスプレーが、かえって革を傷めてしまう可能性もあります。

こうした点を踏まえると、基本的に防水スプレーは不要であると言えます。イタリアンレザーは、過度に守ろうとせず、自然な変化を受け入れながら使っていくことで、本来の魅力を楽しめる革です。

100均|イタリアンレザー財布のお手入れ用品
100均 革製品 手入れクロス

ダイソーより

イタリアンレザー財布のお手入れ用品は、100円ショップでも購入できるのか気になる方も多いようです。そこで今回、100均の「ダイソー」で購入できる、革製品のお手入れ用品になりそうなものをいくつか調べてみました。

価格はいずれも税抜で、靴用コットンクロス(2枚)が200円、デリケートクリームが300円、馬毛シューズブラシが300円、豚毛シューズブラシが300円、ペネトレイトブラシ(2個入り)が300円、スピードつや出し(革靴用、パームオイル配合)が200円です。いずれも100円ではないものの、手頃な価格で揃えられることが分かります。

ただし、これらはもともと革靴用として販売されているものです。ダイソーでのお手入れ用品の展開を見ても、財布は靴と比べて手入れそのものがあまり重視されていない、むしろ過剰な手入れが不要なアイテムであるとも受け取れます。

というのも、革靴の方がしっかりした手入れを必要とする理由がいくつもあるためです。水や汚れにさらされやすいこと、足の汗や湿気にさらされ続けること(足は1日にコップ1杯分ほど汗をかく)、歩行による屈曲の負荷が大きいこと、摩擦や衝撃を受けやすいこと、そして手で触れる機会がほとんどないため油分が自然に補われにくいことなどです。加えて、革靴に使われる革は油分が少なめのスムースレザーなど、クリームで色や艶を補うことを前提とした仕上げが多いという違いもあります。

こうした背景を踏まえると、今回のラインナップの中では、コットンクロスが財布の手入れに使えそうです。財布の手入れの基本は乾拭きなので、コットンクロスが1枚あれば十分だと言えます。

財布の日常的なお手入れに、高価な道具は必要ありません。ダイソーのような100円ショップで揃えるのも一つの選択肢ですし、それ以前に、手元にある柔らかい布を使うだけでも十分です。

クリームの塗布など|手入れをやりすぎるとどうなる?

クリームの塗布など|手入れをやりすぎるとどうなる?イタリアンレザーの財布は、クリームなどのお手入れを「やりすぎる」と、かえって革や財布の寿命を縮め、見た目を損なう大きなトラブルを引き起こしてしまいます。オイルを豊富に含んでいるイタリアンレザーにとって、過剰な水分や油分の補給は明確なデメリットになるのです。

やりすぎた場合に起こる4つのトラブル

まず一つ目は、カビが繁殖しやすくなるという劣化のリスクです。革の内部に余分な油分や水分が溜まると、それを餌にしてカビが非常に発生しやすくなります。一度内部まで根を張ったカビを完全に除去するのは困難です。

二つ目は、ベタつきと黒ずみです。表面に残ったオイルやクリームがベタつき、手垢やホコリを強力に吸い寄せてしまいます。その結果、美しいエイジングではなく、ただ汚らしく黒ずんだ見た目になってしまいます。

三つ目は、革本来の香りが失われてしまうことです。クリーム特有の化学的な臭いが染み付き、イタリアンレザーならではの心地よい革の香りが消えてしまいます。

そして四つ目は、革が柔らかくなりすぎて型崩れを起こすことです。クリームを塗りすぎると、革の繊維がほぐれすぎてコシがなくなります。財布全体の形状を保てなくなり、型崩れの原因になります。

なぜイタリアンレザーは「やりすぎ」になりやすいのか

イタリアンレザー、特になめし工程でオイルをたっぷり含ませるバケッタ製法の革などは、元々内部に十分な油分を蓄えています。さらに、財布は毎日手で触れるため、人の手からも油分が補給されている状態にあります。

そのため、一般的な革靴のように定期的にクリームを塗る感覚でお手入れしてしまうと、油分過多に陥ってしまいます。革にとっては「不足」よりも「過剰」のほうが、ダメージになりやすいのです。

イタリアンレザー財布の手入れでは、特別なことは何もしないのを基本とし、何年も使い続けたのちにカサつきなどがどうしても気になったときだけ、ごく少量のデリケートクリームを塗るという引き算の手入れが正解だと言えます。

手入れをしないのもOK?イタリアンレザー財布

イタリアンレザー財布 手入れしないのもOK革財布の手入れをする理由を突き詰めると、その大前提は、革の乾燥、つまり油分が失われることを防ぎ、寿命を長くし、自然で美しい経年変化を楽しむためにあります。それ以上のマニアックな欲求を満たすためのものではないと思います。

ここで改めてイタリアンレザーの特性を見てみると、もともと鞣しの工程でオイルをたっぷり含ませてあることが分かります。また、初期の状態ではマットな質感の革が多く、経年変化で艶が出る前にクリームやオイルを塗布してしまうと、その部分だけ艶が出てしまい、自然な経年変化の過程を飛ばしてしまうことになります。

こうした特性を踏まえると、そもそも手入れをしなくてもいいのではないかと考えられます。理由は大きく3つあります。

クロスフラップミニウォレット マヤレザー ブラウン コインポケット一つ目は、手の油分だけで十分足りるという点です。日常的に手で触れて使っているだけでも乾燥は防げます。手の脂や摩擦によって自然に油分が補われ、艶も出てきます。使うこと自体が、一番のお手入れになると言えるでしょう。

二つ目は、クリームがかえってエイジングの邪魔になってしまうという点です。ツヤが出る前にクリームを塗ると、不自然なテカリになり、本来きれいに育つはずだったプロセスを台無しにしてしまいます。塗った部分だけ色が濃くなったり艶が出たりして、ムラになりやすいのも難点です。

三つ目は、手で払うだけでも埃は十分に落とせるという点です。毎日ポケットやカバンから出し入れし、手で触れたり払ったりしているなら、それだけでホコリを溜めない効果としては十分です。専用のブラシも必須ではないと言えます。

もちろん、暖房器具の近くや直射日光が当たり続ける場所、高温多湿な場所に置いておくと、そうした環境の影響を受けるため、手入れが不要とは言い切れないという意見もあります。しかし、そもそもこうした環境では、いくら手入れをしても意味がなく、劣化は避けられません。

つまり、人が普通に過ごせる環境で使っているのであれば、革にとっても大きな負担にはならず、特別な手入れはしなくても良いということです。油分を多く含んだ植物タンニン鞣しのイタリアンレザーで、毎日使って手で触れているという条件が重なれば、特別な手入れなしでも問題なく馴染み、自然な経年変化を実感できます。

デメリット?イタリアンレザーの変化や個性

デメリット?イタリアンレザーの変化や個性ここまで見てきた通り、イタリアンレザーの財布は手入れが簡単で、特別な手入れをしなくても使えます。では、その分、デメリットに見えるような点はないのでしょうか。ここでは主な注意点を3つ紹介します。

一つ目は、傷や汚れが付きやすいという点です。植物タンニン鞣しの革は、表面の仕上げが薄く、革本来の風合いを残した仕上げのものが多いため、爪などで引っかいた傷や汚れなどがつきやすい傾向にあります。革の経年変化によってある程度は周囲の部分と馴染んできますが、完全には消えません。傷や汚れも味として割り切れる方に向いている革だと言えます。

二つ目は、経年変化によって色や質感が変わる点です。これは長所でもある一方、新品のきれいな状態を保ちたい方にとっては短所にもなり得ます。色が濃くなったり、ツヤが出たりといった変化は止められません。とくにキャメルやターコイズブルーなど明るい色は、経年による色の変化が大きくなります。

三つ目は、初期に革の硬さがある場合もあるという点です。革によっては新品の状態でやや硬く、馴染むまでに時間がかかることがあります。財布の開閉の動作が硬い、札入れが開きにくいなどと感じる場合もあるかもしれません。これは革の個体差が大きく、手に取ってみるまでわからない部分でもあります。

ここまで、イタリアンレザーの財布は「手入れが簡単」「手入れをしなくてもいい」と説明してきましたが、これは傷や汚れがつかない、つまり手入れをしなくても買ったときの状態を保てるという意味ではありません。傷や汚れを完全に防ぐための手入れは困難で、経年変化そのものを避けることもできないのです。傷がついても経年変化によって馴染み、目立たなくなっていく、だからこそ特別な手入れが不要であり、簡単だと言えるのです。

総じて、イタリアンレザー財布の注意点としては、汚したくない、きれいなまま使い続けたいという方には向かないという一点に集約されます。逆に言えば、イタリアンレザーの財布は、傷や汚れも含めて自分の財布の個性として、またその財布と過ごした時間の証として楽しめる方にこそおすすめできる革だと言えます。

まとめ|手入れは?イタリアンレザー財布

この記事では、イタリアンレザー財布の手入れについて、やりすぎないことの大切さを中心に解説してきました。

– 防水スプレーは不要で、経年変化を妨げる可能性もあるため、フッ素系のものを使うとしても慎重な判断が必要です
– 100円ショップのお手入れ用品は革靴向けのものが多く、財布にはコットンクロスがあれば十分です
– クリームなどのお手入れをやりすぎると、カビやベタつき、匂い、型崩れといったトラブルを引き起こします
– 日常的な使用だけで乾燥や埃を防げるため、手入れをしないという選択も十分に成り立ちます
– 傷や汚れ、経年変化による色の変化は避けられないものの、それこそがイタリアンレザーならではの個性と言えます

イタリアンレザーの財布は、過剰な手入れをせず、日々使いながら自然な変化を楽しむことが、長く愛用するための一番の近道です。

▼当工房のイタリアンレザー財布の一例

このブログの投稿者について

関連記事