ハンドメイド作品を作るのは好きでも、それをどこで売るかで悩んだ経験はないでしょうか。ネットで検索すれば、「初心者にはこのサイトがおすすめ」という情報がすぐに見つかります。しかし、そうしたおすすめ情報の多くは、あくまで一つの見方に過ぎません。
僕自身、ハンドメイドの財布を作り、実際に販売してきた中で、定番とされる解説だけでは見えてこない現実に何度も直面してきました。売る場所選びを誤ると、せっかく作った作品が誰の目にも触れないまま埋もれてしまうことすらあります。
このブログでは、そうした実体験をもとに、初心者が抱きやすい「おすすめの売る場所」という情報との向き合い方について、僕なりの視点をお伝えしていきます。
- 「おすすめ」は絶対ではない
- 慣れが難易度を左右する
- 複数出品で相性を見極める
【売る場所】初心者のハンドメイド販売
定番的な解説|初心者におすすめの売る場所
手先を動かして何かを作るのが好きな人は多いですが、その作品を「販売する」となると、話は別です。アクセサリーやジュエリーといった小物から、バッグ、財布、スマホケース、靴、服、さらには家具やインテリア雑貨、食器、ぬいぐるみ、ペットグッズ、ベビー用品まで、ハンドメイド品のジャンルは実にさまざまです。ただ、ジャンルを問わず、いざ販売しようと思った時に必ずぶつかるのが「どこで売るのか」という壁です。
売る場所は、大きく分けるとオンラインとオフラインの2つです。ネット上で販売するか、マルシェや手作り市などに出店してお客さんと直接対面で販売するかという違いになります。
※このブログでは、このうちオンラインで販売できる場所について解説していきます。
定番はCreemaやminneなどのマーケットプレイス
ネット上で販売する方法を調べると、定番的な解説としてまず登場するのが「Creema」や「minne」といった、ハンドメイド専門のマーケットプレイスでの販売です。なぜこれらが初心者におすすめとされているのでしょうか。
理由の一つは、出品作業のシンプルさにあります。メールアドレスとパスワードを決めればすぐにアカウントを作成でき、あとはショップのプロフィール情報や売上金の入金先など、いくつかの項目を入力するだけで販売を始められます。出品自体も、メルカリなどのフリマアプリに近い感覚です。スマホからでもパソコンからでも、作品の写真をアップロードし、タイトル・説明文・価格・配送方法などを設定すれば出品は完了です。ショップ画面には即座に反映されるため、思い立ったその日から販売をスタートできます。
しかも、出品にあたって審査はありません(食品カテゴリーを除く)。アクセサリーや財布などを制作している人であれば、それが趣味であっても仕事であっても、誰でも出品できる点は初心者にとって心強いポイントです。なお、minneの場合、「個人事業主」または「法人」に該当する方には、割賦販売法にもとづく事業内容の審査が年に1回設けられています。とはいえ、この審査で特別な書類提出を求められるわけではなく、通常は速やかに完了します。
参入障壁の低さが評価されている
こうして見ていくと、Creemaやminneといったマーケットプレイスは、これ以上ないほど敷居の低い販売方法だと言えます。「作ることは好きだけれど、売ることには詳しくない」という人にとって、この参入障壁の低さは確かに大きなメリットです。だからこそ「初心者にはマーケットプレイスがおすすめ」というのが定番的な解説になっていますし、この解説自体、一つの事実として正しいものです。
ただ、僕自身がハンドメイドの財布を実際に販売してきた経験からすると、この定番の解説だけでは見えてこない視点もあります。次の見出しからは、そのあたりについて掘り下げていきます。
長期視点|簡単な場所から始めるのが本当に正解か?
ハンドメイド作品をネット上で販売する場合、Creemaやminneのようなマーケットプレイスに出品する方法の他に、自分の独自サイトを作って売るという方法もあります。僕自身も、このブログを掲載しているWordPressでサイトを作り、そこでハンドメイドの財布を販売しています。
独自サイト(WordPress)とマーケットプレイスの決定的な違い
WordPressは、プログラミングの知識や技術がない人でも簡単にサイト運営を始められるサービス、いわゆるコンテンツマネジメントシステムとして知られています。ただ、「簡単に始められる」といっても、その中身はCreemaやminneでショップを作る場合とは大きく異なります。マーケットプレイスであれば、メールアドレスとパスワードを決め、ショップ名や説明文などの項目を入力すればそれで完了ですが、自社サイトの場合はそうはいきません。
両者の違いを整理すると、WordPressはプログラミングの知識がなくても独自のサイト運営を始められる一方、Creemaやminneは運営会社が用意した枠組みの中でショップを作るだけのモール型サービスです。つまり、WordPressで自社サイトを運営する場合は「サイトの管理者」になる必要がある、という点が決定的に異なります。
では、「管理者になる」とは具体的にどういうことでしょうか。まず必要になるのが、サーバーのレンタル契約や独自ドメインの取得、WordPress本体・テーマのインストール作業といった、インフラ面の準備です。それだけでなく、セキュリティ対策としてプラグインやWordPress本体を定期的にアップデートしたり、バックアップを管理したり、表示崩れやエラーが起きた際に自分で対応したりといった、運用面の責任も発生します。
難しさの正体は「慣れていないこと」
僕は、Creemaやminneでの販売を2年ほど経験してから、自社サイトを作って運営を始めました。実際に始めてみると、しばらくの間はむずかしさを感じる場面が多かったというのが正直なところです。ただ、勘違いしてほしくないのは、プログラミングの知識や技術が必要だったわけではないという点です。あくまでサイトの管理者になるのであって、開発者になるわけではありません。
では、なぜ難しく感じたのか。理由は、それ以前の販売方法が、運営会社の用意した枠組みの中でショップを作るだけという、極めてシンプルなものだったからだと思います。先に簡単な方法に慣れていたからこそ、その対比でより手間のかかるものに触れた時、難しく感じてしまう。これは分野を問わず起こることではないでしょうか。
「初心者には簡単な方法から始めるのがおすすめ」というのは、分野を問わずよく言われることです。ただ、そもそも人はいつまでも初心者のままではいられません。長期的な視点で見ると、簡単な方法から始めることが、必ずしも正解とは言えないのではないか。今の僕はそう感じています。
マーケットプレイスは運営の方針に振り回されがち
前の見出しでは、マーケットプレイスとは異なる形として、自社サイトの運営について触れました。ここからは、あらためてCreemaやminneといったマーケットプレイスに話を戻し、その定番的な解説だけでは見落とされがちな点を整理していきます。
「売り始めやすい」と「売れる」は別問題
これまで見てきた解説は、あくまで出品の手軽さについてのものです。しかし、そこには「出品したら売れるのか」という、もう一つ重要な話が抜けています。Creemaやminneは出品者数が非常に多く、その分ショップが埋もれやすいという構造的な問題を抱えています。検索結果の上位に表示されるには、レビュー数や販売実績も大きく影響してきます。つまり、「敷居が低い」ことと「すぐ売れる」ことはイコールではないのですが、この点は初心者が誤解しやすいところです。
手数料や課金サービスの存在
同じく「敷居の低さ」が語られる際に省略されがちなのが、手数料の話です。これは初心者が後になって驚きやすいポイントでもあります。販売手数料は10%程度かかるうえ、最近ではCreemaもminneも、販売者向けの広告配信サービスやサブスク型のサービス展開に力を入れています。そのため、露出を増やしたいと思うと、さらなる課金を求められがちです。実際、ネット上では「課金しても必ず露出が売上に繋がるわけではない」というリアルな声も見られます。
価格競争・単価の低さ問題
さらに、マーケットプレイスは類似品との比較がしやすい環境であるため、価格競争が起きやすい傾向にあります。その結果、「材料費+時給」で計算すると赤字に近い価格設定をしてしまう初心者が多いという指摘もよく見られます。加えて、自分の商品ページの下部には、関連商品として自分の作品とよく似た、より安い作品がおすすめとして表示されてしまうことも少なくありません。
こうして見ていくと、結局のところ自分のサイトでない以上、運営側の決定にはどうにもできないというリスクが常につきまとうことがわかります。出品のしやすさも、広告機能も、手数料率も、すべては「運営が決めたルールの上で商売をさせてもらっている」という前提の上に成り立っているのです。
マーケットプレイスは、あくまで「集客力を借りる」場所であって、「自分の城」ではありません。借り物の部屋のようなものであり、そこで積み上げたものは、運営の方針変更ひとつで揺らいでしまう可能性がある。そのことは、頭の片隅に置いておく必要があると思います。
顧客層などサイトの特性を理解することも大切
もう一つ、マーケットプレイスに出品する際に初心者が見落としがちな視点として、そのサイトの顧客層の偏りがあります。
Creemaやminneは、確かにハンドメイドの財布やバッグなど、デザインのテイストを問わず出品できるという意味では間口が広いサイトです。しかし、その一方で顧客層の9割は女性と言われており、メインの売れ筋アイテムも女性向けのアクセサリーや服が中心となっています。価格帯についても、安さが求められているわけではないものの、ブランドものほどの高価格帯が求められているわけでもありません。
こうしたサイトの特性を理解せずに、ただ心を込めて作ったから売れるだろうと思っていても、おそらくうまくいかないでしょう。仮にうまくいったとしても、それはたまたま自分の作品とサイトの方向性が合っていただけの、かなりラッキーなケースだと思います。実際には、膨大な出品数の影響もあり、ほとんどの出品者はなかなか自分の作品を見てもらえないという状況になりがちです。
こうしたサイトの特性は「どうにもできない」ものではなく、「事前に調べておけば、自分の作品と合うかどうかを判断できる」性質のものです。しかし初心者の場合、この点を理解しないまま出品してしまうケースが多いというのも、よくある失敗パターンだと思います。
事前に調べて選ぶことの難しさ
初心者でも出品できるマーケットプレイスは、Creemaやminneの他にも、「iichi」や「つなぐマーケット」、「メルカリ」などがあります。それぞれ特性が少しずつ異なるため、事前にそれを知った上で売り始めることも大切です。
とはいえ、それを実践するのは、初心者にとってはなかなか難しいことでもあります。むしろ、それができるのであれば、もう初心者という段階は終えているようにも思います。なぜなら、各サイトの客層・手数料・雰囲気の違いは、実際に出品して売ってみないと体感として分からない部分が大きいからです。ネット上の比較記事で「30代女性が多い」「セミプロが多い」といった情報を読んでも、自分の作品がそこにフィットするかどうかまでは、結局のところ分かりません。そもそも、情報を集めて理解する力自体が一種の経験値であり、それを初心者に求めるのは少し酷だとも思います。
こうした理由からも、マーケットプレイスへの出品が、必ずしも初心者におすすめの販売場所とは言えないと、僕は考えています。「出品作業そのものの簡単さ」と「マーケットプレイスで成果を出すことの簡単さ」は、全く別物なのです。
1つに絞る?複数の場所に出品する?
ここまで、Creemaやminneといったマーケットプレイス、そしてWordPressを使った自社サイトについて、それぞれの特徴や注意点を見てきました。こうしてさまざまな角度から見ていくと、絶対的に「初心者にはここがおすすめ」と言い切れる場所はないというのが、正直なところです。どこも一長一短があります。
中には、Creemaやminneのサイトの方向性と、自分の作品や価格帯の方向性がたまたまぴったり合っていて、最初からうまくいくケースもあるでしょう。また、WordPressを使ったブログサイト運営の経験がある人であれば、自社サイトの運営から始めたほうがスムーズかもしれません。
とはいえ、こうした個別の相性を差し引いて考えるなら、1つの場所に絞るというよりは、複数の場所を使い分けるような形で出品するのが良いように思います。自社サイトを作る方法を除けば、どのマーケットプレイスも出品自体は無料です。時間的なコストはかかりますが、初期の金銭的なリスクはほとんどありません。
複数サイトへの同時出品は問題ないのか
同じ作品を複数のサイトに同時出品しても良いのか、と気になる人もいるかもしれません。これは基本的に、各マーケットプレイスの規約上問題ありません。複数サイトへの同時出品を禁止する規約は一般的ではなく、実際に多くのハンドメイド作家が、minneとCreemaの両方に同じ作品を出品しています。唯一気をつけたいのは、「一点物」などの場合、片方で売れたらもう片方は速やかに削除・非公開にする必要があるという点くらいです。
また、写真や説明文についても、サイトごとに変える必要はありません。「サイトごとに内容を変えるべきか」という論点自体、実務上はほとんど意味を持たないのです。同じ写真・同じ説明文をそのまま使い回すのが一般的で、むしろ毎回サイトごとに書き直すほうが非効率だと言えます。
作品の数についても、1点だけで十分です。「複数出品してみる」というのは、出品点数を増やすことを求めているのではなく、あくまで「複数のサイトを試してみる」という意味だからです。1つの作品を1点だけ、いくつかのサイトに置いてみるだけでも、十分に「試す」ことになります。むしろ、初心者が何十点も用意してから始めようとすると、それ自体が着手のハードルになってしまいます。
まとめ|【売る場所】初心者のハンドメイド販売
ここまで、ハンドメイド販売における「売る場所」について、さまざまな角度から見てきました。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
– Creemaやminneなどのマーケットプレイスは、出品作業が簡単で審査もほとんどなく、初心者にとって参入障壁が低い販売場所である
– 簡単な場所から始めることは、長期的に見ると必ずしも正解とは言えず、自社サイトの運営など、あえて手間のかかる方法を選ぶという視点もある
– マーケットプレイスは出品者数の多さゆえに埋もれやすく、手数料や課金サービスの存在もあり、運営側の方針に販売活動が左右されやすい
– サイトごとに顧客層や特性が異なるため、自分の作品との相性を理解しないまま出品すると、思うように見てもらえないことがある
– 1つの場所に絞るのではなく、複数のマーケットプレイスに同じ作品を試しに出品してみることで、自分に合う場所を見極めやすくなる
売る場所選びに絶対の正解はありませんが、それぞれの特性を理解した上で、自分なりの一歩を踏み出してみてください。
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▼おすすめのブログ記事(筆者の経験をベースにハンドメイド財布販売の道のりを記載)


氏名:宮城良太(みやぎ りょうた)
生年月日:1995年10月21日
略歴:文化服装学院(工芸課程)→デザイナー(スポーツアパレル)→個人業(財布の製造・ブログなど)
好きな言葉:要は慣れ・ひとそれぞれ
