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ヌメ革の財布。手に取ると、まるで生きているかのように、使うほどに色が深まり、形が変わっていく不思議な魅力を持っています。
新品の時は白に近いベージュ色で、やや固めの質感。でも、使い込むうちに少しずつ色が濃くなり、手に馴染んでいく様子は、まるで自分だけの物語を紡いでいくようです。
実際、20年以上愛用している方の財布を見ると、最初のベージュの面影はなく、深い飴色やダークブラウンへと変化を遂げています。そんな長年の変化を楽しむことができるのが、ヌメ革財布の大きな魅力です。
しかし、この魅力的なヌメ革財布には、使い始める時に知っておきたいポイントがいくつかあります。うっかり水に濡らしてしまったり、お手入れを怠ったりすると、せっかくの経年変化を台無しにしてしまう可能性も。
このブログでは、ヌメ革財布を長く美しく使い続けるために必要な知識や、おすすめのブランド情報をご紹介していきます。
- ヌメ革財布の基礎知識
- 正しい使い始め方のポイント
- 失敗しないお手入れ方法
- 選び方とおすすめブランド
目次
ヌメ革財布を使い始める際に気を付けるポイントなど
経年変化が魅力なヌメ革とは
「革の中の革」と呼ばれるヌメ革は、植物の渋に含まれるタンニン成分で牛の原皮を鞣した革のことです。染色や塗装などの表面加工をほとんど施していないため、革本来の魅力を存分に味わえる素材として知られています。
なお、染色を施した「カラーヌメ革」やオイルを多く含んだ「オイルヌメ革」という革もありますが、このブログでは表面加工をほとんど施していない、素上げのベージュ(ナチュラルカラー)の革をヌメ革として紹介していきます。
ヌメ革の大きな特徴は、丈夫で長持ちする耐久性と味わい深い経年変化です。線維がキュッと締まっているため、とても頑丈な革に仕上がります。新品時はやや固めですが、使い込むことで繊維がほぐれて柔らかくなり、体に馴染んでいきます。
紫外線や熱による日焼け、ケアオイルや手の脂の染み込みによって、色がより深みを増していきます。さらに、摩擦などの刺激で革に元々含まれる脂分が表面に染み出し、磨かれることで独特の艶が生まれます。
また最もナチュラルな仕上げのため、牛が持っていた様々な痕跡がそのまま残ります。これらは「ナチュラル・スタンプ」と呼ばれ、傷跡、シワの跡、血管の跡、毛穴などが、それぞれ革の個性となって表情を豊かにします。使い方によって異なる風合いが出るため、世界で一つだけの革製品に育てていく楽しみがあるのです。
ヌメ革は本革?同じもの?
ヌメ革は本革の一種です。本革とは、動物の皮を加工して作られた革の総称で、そのなかでヌメ革は最も自然な状態に近い革として知られています。
本革の加工方法は大きく分けて「鞣し」と「仕上げ」の2段階があります。鞣し方法には、(ベジタブル)タンニン鞣し、クロム鞣し、アルデヒド鞣し、混合(コンビネーション)鞣しなどがあり、ヌメ革は伝統的なタンニン鞣しを用いています。
素材となる動物の種類も豊富で、牛革、馬革、豚革、バッファロー、山羊革、羊革などの一般的な革から、ワニ、蛇、ダチョウ、鹿革などの高級革まで様々です。ただし、ヌメ革財布として販売されている製品のほとんどは牛革が使用されています。
仕上げ加工の方法も多様です。オイルレザーはしなやかで丈夫に、エナメルレザーは水や汚れに強く艶のある仕上がりに、ガラスレザーは均一な美しさと耐水性を持つように加工されます。その他、ブライドルレザー、スウェード、ヌバック、シュリンクレザー、型押しなど、用途に応じた様々な仕上げ方法があります。
そのなかでヌメ革は、タンニン鞣しした後、染色などの表面加工をほとんど施さない素仕上げの革を指します。使用者自身が使い込むことで独自の風合いを生み出していく、いわば「育てる革」として親しまれています。
ヌメ革製品の使用前にすること(最初の手入れ方法)
ヌメ革製品を使い始める前には、一般的に「日光浴」という手入れが推奨されています。この工程により、革に含まれている油分が表面に滲み出てコーティングの役割を果たし、シミや傷がつきにくくなるため、製品の寿命を延ばす効果があります。
日光浴の手順は以下の通りです。まず室内の窓際(直射日光は避ける)に置き、表裏各1週間、計2週間ほど日に当てます。季節によって日照時間や紫外線量が異なるため、色がほんのりきつね色になるまでを目安に期間を調整するとよいでしょう。ただし、高温になる場所での日光浴は避ける必要があります。
日光浴が終わったら、次は3段階のケアを行います。まず柔らかい布で表面を優しく拭き、1日放置していたホコリや汚れを取り除きます。次に馬毛ブラシで軽くブラッシングを行い、表面を清潔に整えます。
最後に革用クリームで保湿を行います。日光浴後は革が乾燥した状態になっているため、この工程は特に重要です。クリームの種類に決まりはありませんが、シミなどが心配な方はデリケートクリームがおすすめです。
この一連の手入れを丁寧に行うことで、その後のエイジングも美しく進み、長く愛用できる革製品に育っていきます。
手入れしないとどうなる?ヌメ革の欠点は?
ヌメ革には、特有の弱点がいくつかあります。最も注意が必要なのは水や湿気への弱さです。表面加工がされていない分、水の影響を受けやすく、濡れるとシミや色落ち、色移り、ふくらみの原因となります。さらに、放置するとカビが発生することもあるため、水に濡れた際は速やかに拭き取る必要があります。
また、温度変化にも敏感です。温度差の激しい場所で保管すると、革内部の油脂分が染み出て白い皮膜や粉状の物質が発生することがあります。ただし、この場合は柔らかい布で擦り込むことで内部に戻すことができます。
防傷加工がされていないため、爪などで容易に凹みや傷がつきやすいのも特徴です。一度ついた傷や痕は基本的に消えませんが、浅い傷は指で揉み込んだり、経年変化で自然に目立たなくなったりすることもあります。
日々のケアとしては、表面の乾拭きでほこりを払う程度で構いません。ただし、半年以上使用して革表面にカサつきなど乾燥の徴候が見られ始めたら、1〜2ヶ月に1回程度のオイルケアで潤いや油脂分を補充することが推奨されています。
保管時は通気の良い場所を選び、高温や温度差の激しい場所は避けましょう。長期保管時は時々日陰干しや乾拭きを行い、湿気対策をすることも大切です。
エイジングの失敗例となってしまうポイントや対処法
ヌメ革のエイジングで特に注意が必要なのは、水と湿気への対策です。表面加工がされていないため水に弱く、特にエイジングが進んでいない新品状態では、水濡れによって濃いシミや水ぶくれが残ってしまう可能性があります。
この対策として効果的なのが、ミンクオイルによるコーティングです。イタチ科の動物から採取した脂とろう、流動パラフィンを固めて作られたこのオイルには、石油系オイルも含まれているため、耐水性を高め、傷も目立ちにくくしてくれます。
ミンクオイルの使用手順は、まず革専用の馬毛ブラシでホコリを落とし、少量のオイルを乾いた布に染み込ませ、ムラなく均一に伸ばしていきます。ただし、革の種類によってはシミや色落ちの可能性もあるため、目立たない部分で試してから使用することをおすすめします。
直射日光も大敵です。エイジング初期の日光浴は推奨されますが、直射日光は避け、夏の日差しや屋外での長時間放置は控えましょう。乾燥によってひび割れなどの原因となります。
もし水シミができてしまった場合は、濡らしたクロスを固く絞り、シミの部分と周辺を叩いて馴染ませることで目立ちにくくすることができます。乾燥によるヒビ割れには革専用の保湿クリームが効果的ですが、塗り過ぎは逆効果となるため、様子を見ながら行うことが重要です。
▼育てる財布をコスパ良く手に入れたい方に!
ヌメ革財布を使い始めたいという方におすすめなブランドなど
経年変化が魅力なヌメ革財布が豊富なブランド
micは、革財布専門メーカーである株式会社ラモーダヨシダのプライベートブランドとして1978年に誕生しました。「財布は暮らしの道具です」というブランドスローガンのもと、毎日使う革財布に必要な使い心地、耐久性、買い替えやすさを重視したものづくりを行っています。
同社の顧客層は男性が6割、女性が4割となっており、製品には初期不良保証が付いています。
micでは、ブライドルレザーやコードバンなど様々な素材の財布を展開していますが、特に人気が高いのが「グレージングヌメ」シリーズです。このシリーズは、無染色のタンニン鞣し革をガラス玉で磨き上げる「グレージング加工」を施し、艶やかで肌触りの良い仕上がりが特徴となっています。
グレージングヌメは、使い込むほどに深く経年変化が楽しめるシリーズで、micの代表的なロングセラー商品として知られています。イタリア産のヌメ革を使用し、使い始めは白に近い色味ですが、紫外線や手の油分により徐々に飴色へと変化していきます。日本の職人がガラス玉で一枚一枚丁寧に磨き上げることで、すべすべとした心地よい触感を実現しているのも特徴です。
商品展開は、二つ折り財布、三つ折り財布などのコンパクト財布から長財布まで豊富です。色はベージュ1色のみですが、使う人の個性によって異なる経年変化を楽しめることから、「育て上げる」ヌメ革のシリーズとして多くのファンを持っています。
10年かけてエイジングを楽しめるヌメ革財布
micのグレージングヌメシリーズの中でも、特に注目を集めているのが「グレージングヌメ ヒップポケット革財布(小銭入れ付き)」です。このモデルは、micを代表するロングセラー商品で、お尻のポケットでの使用を考慮した設計により、グッドデザイン賞も受賞しています。
外側に飛び出したループや馬蹄型のフォルムなど、随所に使い心地を高める工夫が施されています。カード収納は6枚、フリーポケット2箇所、小銭入れと札仕切りを備え、本体サイズは縦11.5cm×横9.8cm×厚み3.0cmとなっています。
mic公式サイトのブログには、このモデルの長期使用例が多数掲載されており、中でも約21年の愛用歴を持つ財布が紹介されています。元のベージュの面影が全くないほど色が変化し、ダークブラウンに近い色味まで深まった実例を見ることができます。
公式サイトに掲載されているユーザーレビューでは、「一週間は日焼けさせてから使おうと思います。色の変化が楽しみです」「エイジング動画を見て欲しくなった」「YouTubeのチャンネルを見て形状が変わっていて、使い易くて経年変化も楽しめそう」といった声が寄せられています。
日々変化していく様子を楽しみながら、長年にわたって愛用できる財布として支持を集めているようです。
おすすめのヌメ革手入れクリームも
micでは様々なヌメ革のケア用品も取り扱っています。
代表的な商品として、「モゥブレイ アニリンカーフクリーム」があります。油分が控えめで、ムラになりにくい栄養クリームです。ロウ分が含まれているため、透明感のある光沢(ツヤ)が出るのが特長とされています。
また「モゥブレイ デリケートクリーム」は、保湿効果・柔軟効果に優れた栄養クリームです。ゼリー状で使いやすく、さらっとしたマットな仕上がりが特徴です。
クリームの使用方法は、布にごく少量のクリームを取り、クリームを布全体に馴染ませます。その後、すばやく全体に塗り込んで1〜2分乾燥させ、最後に軽く乾拭きします。
クリーム以外のケア用品も充実しており、柔らかい馬毛を使用した「ミニホースブラシ」は、細かい隙間にも入りやすいコンパクトサイズが特徴です。また「ポリッシングコットン」は、ケアクリームを塗る際や乾拭きする際に使いやすいコットン製のクロスです。
これらの専用ケア用品をそろえることで、ヌメ革製品を長く美しく保つためのトータルケアが可能となります。
ヌメ革用クリームの代用アイデア
モゥブレイ デリケートクリームなど専用の革用品が手元にない場合、代用品として以下のようなアイテムが挙げられます。
ハンドクリームやローションは、保湿成分を含んでおり、革を柔らかくし乾燥から保護する効果があります。ただし、香料や添加物が含まれていない、シンプルな成分の製品を選ぶことが重要です。使用時は適量を布に取り、軽く革表面を拭くように塗布します。
ベビーオイルやオリーブオイルも一定の効果を発揮します。これらのオイルは革を柔らかくし、乾燥を防ぐ働きがあります。柔らかい布に少量のオイルを付けて革表面に薄く塗り、均等になるように優しくマッサージします。ただし、過剰な使用は革が吸収しすぎてしまい、シミやべたつきの原因となるので注意が必要です。
ヴァセリンは保湿効果があり、水分の蒸発を防ぐため、革製品のケアに役立ちます。また、ビーズワックスは天然の防水材として知られており、熱を加えることで革の隙間に浸透しやすくなります。
ただし、これらはあくまでも一時的な対応策です。高価な革製品を長く使用したい場合は、専用のケア用品を使用することをおすすめします。また、どの代用品も使用前に目立たない部分でテストを行い、革への影響を確認することが大切です。
100均のクリームで?ヌメ革のお手入れを?
100均の革用お手入れ用品は手軽に購入できる便利なアイテムとして知られています。ブラシ、クリーム、クロスといった基本的なケア用品が揃っており、その中でも豚毛ブラシは毛の高さが低めで適度な硬さがあり、使いやすい大きさが特徴です。一般的には柔らかい馬毛ブラシが推奨されますが、基本的なホコリ落としであれば100均の豚毛ブラシでも対応可能です。
一方、100均のクリームは硬めの質感で伸びが悪く、革への浸透感も弱い傾向にあります。塗布時は均一に塗るのが難しく、やや多めに使用する必要があります。これに対しレザー専用のケア用品は、馬毛ブラシの柔らかな毛先が繊細な部分まで届き、クリームもスクワラン配合で優れた浸透性を持ちます。
仕上がりを比較すると、100均のアイテムは一時的なツヤと強いコーティング感が特徴なのに対し、専用品は自然な艶と高い保湿効果が得られます。実際に、100均の靴クリームをヌメ革製品に使用してシミになってしまったという事例も報告されています。
100均のケア用品は緊急時の応急処置や簡易的なメンテナンス用として使用し、革製品を長く大切に使いたい場合は専用のケア用品の使用が推奨されます。適切なケアで革の寿命は大きく変わるため、品質の良いケア用品を選ぶことが重要です。
総括 ヌメ革財布を使い始める際のポイントやおすすめブランド情報
■ヌメ革財布の特徴
・タンニンで鞣した革で、表面加工をほとんど施していない
・使い込むほどに色が深まり、独自の風合いが生まれる
・傷跡やシワなどの「ナチュラル・スタンプ」が個性となる
■使用前の準備
・室内の窓際で2週間程度の日光浴が推奨される
・専用クリームで保湿ケアを行う
■注意すべき弱点
・水や湿気に特に弱い
・直射日光は避ける
・傷つきやすい
・温度変化に敏感
■日常のケア
・定期的な乾拭きでほこり除去
・通気の良い場所での保管
・半年以上使用後は1〜2ヶ月に1回のオイルケア
■おすすめブランド:mic
・1978年創業の革財布専門メーカー
・「グレージングヌメ」シリーズが人気
・20年以上使い続けている愛用者も
■ケア用品
・専用クリーム(モゥブレイ製品など)の使用推奨
・100均製品は緊急時の応急処置程度に
▼育てる財布をコスパ良く手に入れたい方に
▼投稿者プロフィール
宮城 良太(ミヤギ リョウタ)
略歴:文化服装学院→デザイナー
使いやすさを大切にしたモノづくりと、ファッション分野の情報発信に取り組んでいます。